【本レビュー】本当はオトナに読んでもらいたい「妖怪アパートの幽雅な日常」
妖怪や幽霊系の小説を読んでいる中で見つけた小説なのですが、
胸に響くフレーズなどもあり、子供だけでなく大人も共感ができる部分のある
「妖怪アパートの幽雅な日常」をご紹介します。
【あらすじ】
両親が中学1年生のときに交通事故で亡くなり、伯父の家で肩身狭く暮らしていた夕士。高校入学を機に入る予定だった学生寮が火事になり、住むところが無くなった夕士が方円で途方にくれていると不思議な子供が現れ、「前田不動産」をオススメされる。
予算内で契約できそうなアパートを見つけ、前田不動産のおじさんとアパートに行くと、そのアパートには自分の好きな詩人にして童話作家の一色黎明が住人と知り、アパートに住むことにする。
けれどそこは、人間以外のものもたくさん集まるアパートだった・・・
オトナにとっても勉強になる部分のある、そんな小説
去年作家である香月日輪さんがなくなりました。ネットでは色々と話題になっていた作家さんのようですが、小説を読んでいると説教くさいセリフなどもあるけど、今の子供にとってはそれもいいんじゃないかと思う内容をたくさん含んでいます。
そもそも、今のオトナはちゃんと子供たちを正しく教育できているのかということもあるので、オトナにとってもこの小説を読むことで学ぶことができるはずです。
凄惨な事件となってしまった川崎の事件等、オトナがもっと子供と向き合っていればかわったかもしれないことって多いはずなんです。オトナがあきらめた瞬間に終わってしまう、また気づかないフリや気づかないということもオトナに責任があるはずです。この小説を読んで多少なりとも自分を振り返るという機会になればいいのではないかと思います。
自分が思春期の中学生だったら響いていたかもしれない印象的なフレーズも多くありました。
「君の人生は長く、世界は果てしなく広い。肩の力を抜いていこう」
「今は悪くても、いい時代は必ず来る。すべての歴史はその繰り返しだ」
重たい感じに書いてしまいましたが、小説は深刻な悩みやテーマを織り込みながらも
意外とライトな感じで読めてしまいます。
頭の中で想像膨らむ描写
自分もこんなアパートに住んでみたいと思ってしまうほど、妖怪アパートは地下に大浴場があり、大家さんは大きい黒い妖怪、料理を作ってくれるるり子さんは、手しかない幽霊、でも作る料理はめちゃくちゃ美味しい。
これは、家族団らんには一緒に美味しい食事をすることがいいという意味なのでしょうか。今となってはわかりませんが、香月さんの作品はどれも本当に美味しそうな料理が登場します。
トンカツにしても、ハチミツを豚肉に塗り、寝かせた後にハチミツを落として揚げるという手の込んだ下ごしらえがされるなど、本当においしそうなんです。
実際に、「妖怪アパートの幽雅な日常」に登場する料理をレシピにした本も登場しています。小説を読んだ人なら購入しちゃうこと間違いなしです。
妖怪アパートの幽雅な食卓 るり子さんのお料理日記 (YA! ENTERTAINMENT)
- 作者: 香月日輪
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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全10巻を1週間程度で読み終えてしまったのですが、世界観にすんなり入っていくことができました。
もうすぐ春休みです。お子様に買ってあげながら、自分でも読んでみて、その世界観を楽しんでみてはいかがしょうか。